モノクロのハワイ
- 2月12日
- 読了時間: 3分
更新日:8月19日
2024年は怒涛の一年だった。たくさん旅にも出たし、不幸とも言える出来事もたくさんあった。
コロナ禍を経て、約4年半ぶりの海外旅行はハワイ。夫の仕事関係での同伴だった。久しぶりの海外に心躍らせ、最大限楽しもうと息巻いていたけれど、直前に人生を揺るがすほどのピンチが訪れた。その一件で夫は心を病んでしまった。
予定どおりハワイには行くことにしたものの、情緒不安定で目を離したら消えてしまいそうな彼との旅は、やはり心から楽しめるものではなかった。キラキラ眩しく楽しそうな観光客を横目に、晴れない私の心。時に写真は心情を反映する。晴れわたる空や光が反射する青い海……カラーで撮るホノルルの景色は私には眩しすぎて、モノクロの表現がしっくりきた。

せっかくのハワイなのにモノクロ写真なの?と多くの人は言うだろう。ハワイは変わらず美しかったし、海はコロナ禍前より透明度が増していた。大自然に癒されたのも事実。それでもカラー写真のハワイは、見返しても私の心に響くものが無い。
あの時の私は、広い大きな海を見ながら自分の存在や悩みの小ささを対比させていた。偶然撮れた心情を表すような1枚は心に残る写真になり、ちょっとだけ哀愁の漂う写真たちは結構お気に入りでもある。結局行きたいところにも行けず、旅は消化不良に終わったけど、無事に帰ってこれたことに安堵した。

旅の直前に起きた不幸な出来事は私たちを強くした。出会って20年以上、初めて腹を割って本音で話ができたのではないかと思う。お互いに勝手に抱えていた罪悪感のようなものを手放し、ようやく本物の家族、信頼し合える関係になったと実感した。
この一件は私たちの絆を深めるためには必要な試練だったのかもしれない。私は彼が持つ人間力や生命力のようなものを信じているし、支えられるのは自分しかいないと腹がすわった。不思議なもので、「私の選んだ人だから絶対大丈夫」という気持ちで前向きな言葉をかけ続けたら、自分のマインドがどんどん好転していった。

早いもので、人生のどん底に落ちたあの日から半年以上が経ち、多少の浮き沈みはあるものの、彼は周囲が驚くほどの復活を見せている。そして私は、人生で初めて毎日がワクワク楽しいと思えるようになった。
40年以上もの間、人生は苦行、生まれてきてしまったから仕方なく生きていると思っていた自分に、そんな感情が芽生える日が来るとは思ってもみなかった。辛かった上半期は、高く跳ぶために低くしゃがみ込んだだけなんじゃないかという気がしている。周りに言われるまで気づかなかったけど、私はかなりポジティブらしい。
ハワイの大自然のパワーは、少しずつ、でも確実に私たちの心を回復に導いてくれたのだろう。次にハワイへ行く時は大自然に感謝を伝えたい。




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