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Cultural Immersion
文化の深層に触れる旅の記録。伝統工芸、地域の祭り、歴史ある建造物。表面的な観光を超えて、その土地の魂に触れた体験の物語。


器と料理の対話──魯山人の美意識が息づく界 加賀の旅
「当意即妙の連続でなければ真の芸術ではない─」 その言葉が、界 加賀のトラベルライブラリーで「いろは屏風」を前にしたとき、ふと脳裏をよぎった。酔筆とも言われるこの「未完」の書が、400年を重ねた白銀屋の建物の奥で、静謐に息づいている。 起源を紡ぐ場所──白銀屋と魯山人の縁 界 加賀──その前身である白銀屋は、寛永元年(1624年)の創業以来、前田家の久姫の定宿として知られ、また魯山人が滞在した場所でもある。ここには魯山人直筆の「白銀屋」の看板や、「白掛鉄色絵雪笹小皿」など、彼の足跡を生き生きと伝える作品が保存されている。 魯山人が九谷焼と出会い、陶芸の世界に心を惹かれていったのも、須田菁華との交流によってであった。この地で培われた「器は料理の着物」という思想は、美と実用を一体と見る視線を、今日の界 加賀のもてなしへと静かに繋げている。 器と料理が奏でる共鳴──もてなしの総合芸術 夕食の膳が運ばれてきた瞬間、400年の時を超えた邂逅が始まった。 まずはガラスと九谷焼が組合わされた九谷和グラスの美しさに魅了された。次々に運ばれてくる北陸海宝会席の美し
9月21日


清め箸に宿る祈り―軽井沢「くろいわ無二」植物が奏でる懐石の調べ―
夏越の夜に 六月の終わり、「くろいわ無二」の暖簾をくぐると、そこは別世界だった。軽井沢には珍しい和の空間で、今宵味わうのはただの懐石料理ではない。特別に用意してもらったプラントベースの懐石料理——動物性の食材を一切使わず、植物だけで表現する日本料理の真髄。...
8月4日
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