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何も起きなかった、あの夕暮れ ──観光と暮らしの隙間で
待っていた人の背中 ゆんたくは、開催されなかった。 本当は体験するはずだった、沖縄らしい暮らしの文化。 けれど、私はその集落の空気に、不思議と包まれていた。 散策の途中、ぽつんと座っていたおじぃの姿があった。声も交わさず、ただ風景の一部のように佇むその背中。缶ビールを片手に、静かな夕暮れをじっと待っているようだった。 その場に流れるゆっくりとした時間。 しばらくして、自転車で帰っていくおじぃを見かけた。 「あのおじぃ、ゆんたくを待ってたんだよ」 集落を案内してくれた地元の人が、ぽつりと教えてくれた。 誰に言われるでもなく、ただそこにある時間。 あの空気が、とてもよかった。 ピンクの電話と、チョークの跡 観光として何か”イベント”が起こったわけではない。けれど、その静かな夕暮れが、忘れられない。 沖縄で、“懐かしさ”を感じるとは思わなかった。 それはたぶん、私がかつて子どもの頃に見た風景よりも、もっと昔の田舎の風景と重なったから。 具体的な記憶ではなく、肌で覚えていた空気の質感。 なんとなく知っている、というノスタルジー。 子供たちがケンケンパをす
10月30日


「きおくを、翔る(かける)旅」――やんばる・静かな集落のフォトリトリート
見たことがないのに、懐かしい。やんばるには、忘れていた時間が生きている。石敢當、芭蕉布、ゆんたく。記憶を翔る旅へ。沖縄北部の集落を巡る、フォトリトリート。
10月20日


ジェットストリームへの憧憬
「ジェットストリームというラジオ番組、ご存知ですか?」 お世話になっている編集者さんが、私のエッセイやウェブサイトの話をしているときにそう言った。読みながらこの番組を思い出したのだという。 驚いたのは、それを耳にしたちょうど二週間前、私はフライト中にその番組を聴いていたこと...
4月28日


宇宙船の中
私は飛行機で眠れない。電車やバスなら秒で寝られるのに。どんなに眠い状態で搭乗しても、快適なはずのビジネスクラスのフルフラットシートでも、たいてい目を瞑っているだけでほとんど起きている。寝ることができたとしても1時間くらいがいいところ。...
4月13日


モノクロのハワイ
2024年は怒涛の一年だった。たくさん旅にも出たし、不幸とも言える出来事もたくさんあった。 コロナ禍を経て、約4年半ぶりの海外旅行はハワイ。夫の仕事関係での同伴だった。久しぶりの海外に心躍らせ、最大限楽しもうと息巻いていたけれど、直前に人生を揺るがすほどのピンチが訪れた。そ...
2月12日
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