五感を刺激するコーヒー時間
- 3月14日
- 読了時間: 3分
更新日:8月19日
待ちに待ったカフェイン解禁日。ファスティングのためにカフェインをやめた8日間。辛くはなかったけど、大好きなコーヒーを飲める今日という日を心待ちにしていた。

まずは今の気分に合わせた音楽をかける。心地よいアコースティックギターのボサノヴァがいつものダイニングをカフェにする。鉄瓶にミネラルウォーターをいれ火にかける。シュッシュという音と共に湯気が上がった。
コーヒー豆の香りを思いっきり吸い込む瞬間は至福の時間。ああ、なんて幸せな香り。手動のコーヒーミルのガリガリという音、無心でミルを回す動作、豆が砕ける感触を味わいながらマインドフルネスな時間を過ごす。
ドリッパーに粉になった豆をうつし、湯を注ぐ。ドリップされた雫がカップに落ちる音、落ちた雫が作る波紋、水分を纏った粉がフィルターに沈んでいく様子、癒される香りに包まれながら一つ一つの動作と変化を観察する。なんて豊かな時間だろう。最初のひと口を味わい、ほっと一息つく。ゆったりとした気持ちで過ごす休日の朝の幸福感を噛み締める。
コーヒーを淹れる行為は五感を大きく刺激する。味覚、嗅覚はもちろんのこと、豆を挽く時に感じる触感、湯を沸かす様子やドリップの様子を視覚や聴覚でも味わうことができるのだ。耳を傾け、観察する。“今ここ、この瞬間” に集中できる時間は現代生活において本当に貴重だと思う。
今年は大好きなコーヒーまわりの道具たちをそろえていきたいと思っている。自分仕様にととのえるといった感覚だろうか。厳選したお気に入りの道具で美味しいコーヒーを淹れたいのだ。

コーヒーが好きだと公言しているものの、家では1杯分のドリップバッグの商品ばかりを飲んでいた。いつかは豆から購入、いつかは鉄瓶で湯を沸かすという理想を昨年になってやっと実現した。
やっとと言っても、きっかけはひょんなことだった。ハワイでコナコーヒーをお土産に買おうとした時、注意していたはずなのに誤って粉ではなく豆を購入してしまったのだ。慌ててミルを比較検討し、まずは初心者にも使いやすそうな比較的安価なものを選択した。
きっかけは誤って購入したことだったが、袋を開けた瞬間の香りの感動が忘れられず、以降、豆で購入することに決めた。豆の選び方はお店で香りを嗅がせてもらい、ピンと来た好きな香りのものを選べばほぼ間違いないということもこの数ヶ月で心得た。ありがたいことに、近所には素敵なロースタリーが多数点在している。

盛岡を旅した時にカフェで出会った、鉄瓶で淹れたコーヒーにも感動した。店員さんが淹れている姿もとても小気味よく、もともと鉄瓶に憧れていたのも相まって忘れられない体験になったのだ。盛岡で鉄瓶を購入しようとしたものの、当時はその金額に躊躇したが、ふるさと納税で購入すればいいのだと急に思いつき、昨秋初めての寄付をしてみたことで鉄瓶のある暮らしが実現した。
願いや理想を口にすると、不思議とすごい勢いで叶う瞬間が訪れることがある。脳内にピンが立ち、そこに知らず知らずのうちに意識が向かっていくのだろう。

小さな願いを叶えるたび、暮らしに少しずつ豊かさが滲んでいく。
コーヒーの湯気の向こうに、今日も静かな幸せが立ちのぼっていた。




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