予定外だけど最適解
フォカッチャを焼いた。本当は小さなフォカッチャを5つ作る予定だった。レシピにもそう書いてあったし、頭の中にも完成形はあった。
ところが、生地が思うように扱えない。ベタベタしていてうまく分けられない。伸ばそうとしてもまとまらない。何度か挑戦してみたけれど、途中で諦めた。
結局、生地はひとつの大きな塊のまま焼くことにした。使うつもりの無かったバーミキュラの鍋に入れる。完全に予定外だった。
けれど、焼き上がったフォカッチャは驚くほど美味しかった。外は香ばしく、中はしっとり。思い描いていた形とは違ったけれど、その日の生地にとっては、それが一番良かったのだと思う。
考えてみれば、人生もそうだと思う。
私たちはよく、目的地だけでなく、そこへ向かう道筋まで決めようとする。こう進めばいい。こうなれば成功だ、と。
でも実際には、予定通りにいかないことの方が多い。思っていた道が塞がれることもある。それでも、別の道を選びながら進んでいく。すると時々、最初に思い描いていた景色よりも、ずっと好きな景色に出会うことがある。
今回のフォカッチャは、小さく焼くことはできなかった。けれど美味しいフォカッチャにはなった。違ったのは、ルートだけだった。
目指す場所は変わらなくても、そこへ向かう道はひとつじゃない。むしろ、予定外の出来事が、新しいルートを教えてくれることもある。
予定外だけど、最適解。最近は、そんなことが増えた気がしている。